| 税理士 |
「相続人以外の人に財産を残したり、相続人であっても特定の人に特定の財産を残したいというときの手段として遺言があります。遺言はその方式について厳格に民法に定められています」 |
| 社長 |
「と言う事は、自分の好きな形式で好きに書けば良いというものではないんだね」 |
| 税理士 |
「はい。民法では一般の遺言として3つの方式を定めています。3つの方式というのは、自筆証書、公正証書、秘密証書です」 |
| 社長 |
「なるほど。それぞれの方式について説明をしてもらえるかな?」 |
| 税理士 |
「はい。まず、安全確実なのが公正証書です。公正証書は、遺言したい人が公証役場に行き、公証人といわれる人に遺言したい内容を口頭で話します。公証人は、その内容を書面に書き写し、遺言者と証人に読み聞かせ、内容を確認してもらいます。そして最後は、公証人、遺言者及び証人が、その書面に署名捺印して完成します」 |
| 社長 |
「証人?!」 |
| 税理士 |
「そうです。2人以上の証人が必要ですが、相続する可能性が高い親族など、遺言者と利害関係にある方は証人になることはできませんので、私のような顧問税理士が証人として立ち会うケースもあります」 |
| 社長 |
「公正証書はなぜ安全確実なんだね?」 |
| 税理士 |
「公証人により法律の要求する形式に沿って作成されますので法律上無効になってしまうということはありません。なお、公証人は自宅や病院などに出張してくれます。そして、完成した遺言は、公証役場で預ってくれますので、失くしたり、書き換えられたりする恐れはありません。また、他の遺言の場合に必要な家庭裁判所の検認という手続が必要ありません」 |
| 社長 |
「家庭裁判所の検認とは、どのような手続なのかね?」 |
| 税理士 |
「家庭裁判所の検認とは、遺言の正当性について家庭裁判所が行う確認手続です。公正証書以外の方式の場合には、必ず必要になります」 |
| 社長 |
「なるほど。公正証書による遺言は、メリットばかりのように聞こえるけど、デメリットはないのかな?」 |
| 税理士 |
「はい。証人が必要ですので遺言の内容を秘密にしておくことができないことがあります。それに、公証役場に係る費用が必要になります」 |
| 社長 |
「他の方式の遺言についても教えてくれるかな?」 |
| 税理士 |
「自筆証書は、遺言の全文を自分で作成し、日付及び氏名を自署し、押印して完成させる遺言です。証人等不要ですので簡単に作成できますし、遺言の内容も秘密にできます。ただし、自分で作成する遺言ですので、法律的な不備が出てしまう可能性があります。また、家庭裁判所の検認手続が必要です」 |
| 社長 |
「法律的な不備とはどのようなことをいうのかね?」 |
| 税理士 |
「例えば、日付を書き忘れてしまった場合には、その遺言書は無効になります」 |
| 社長 |
「なるほど。遺言を書くにも細かな決まりがあるんだね。では、秘密証書は?」 |
| 税理士 |
「はい。秘密証書は、遺言書自体は自分で作成しますが、遺言書を封筒に入れて、公証人に提出し、公証人が遺言書の封筒に提出日付と遺言者の遺言であるということを記載し、公証人、遺言者及び2人以上の証人がそれぞれ署名捺印して完成させます。秘密証書も自己作成ですので、遺言の内容を秘密にできますが、法律的な不備が生じる恐れがあり、家庭裁判所の検認手続が必要とされます」 |
| 社長 |
「それぞれにメリット、デメリットがありそうだね」 |
| 税理士 |
「そうですね。ですから、遺言をお作りになる際には、どの方式にするかメリット、デメリットを検証して決める必要がありますね」 |
| 社長 |
「ところで遺言書にはどのようなことを記載できるのかな?」 |
| 税理士 |
「はい。遺言の内容自体には特に制限はありません。私が死んだら家族いつまでも仲良くしなさいというのも立派な遺言です。しかし、法律上効果が生じる内容は民法に列挙されています。例えば、“自宅の土地、建物を長男にあげる”といった財産取得者の指定や相続分の指定をすることが挙げられます」 |
| 社長 |
「遺言を使って、相続人以外の者を財産の取得者に指定すれば、相続人以外の者にも財産を渡すこともできるということだな・・・。では、例えば、ある特定の1人の人に財産を渡すということもできるのかな?」 |
| 税理士 |
「それは難しいと思います。といいますのは、兄弟姉妹を除く各相続人には、それぞれ最低取得すべき割合が保障されており、この割合を遺留分といいます」 |
| 社長 |
「そうか。遺留分を考慮して遺言を作らないといけないと言うことだね」 |
| 税理士 |
「はい。遺言で財産の取得者を指定する事を遺贈といいますが、遺贈の仕方によっては、遺産分割のトラブルを招いたり、相続税にも影響が出る場合があります。ですから、遺贈を行う際には、現状の財産把握をしっかり行って、各相続人の心境や状況等に配慮し、相続税のことも考えながら、熟慮に熟慮を重ねる必要があると言えます。また、遺言はいつでも訂正することができますので、一度遺言を作ったからといって安心せずに時間の経過や状況の変化に応じて遺言書の見直しをすることも重要です」 |