| 税理士 |
「退院おめでとうございます。やっぱり社長は、会社が似合いますね!」 |
| 社長 |
「まあ、入院生活も悪くなかったがね」 |
| 税理士 |
「看護士さんが可愛かったですもんね」 |
| 社長 |
「君もしっかり見てるね」 |
| 税理士 |
「それはさておき、社長が入院中に、事業承継は2つのバトン、つまり、“物的承継”と“人的承継”が必要であるという話をしましたが、ここからは“物的承継”のお話に戻します」 |
| 社長 |
「“物的承継”ということは、株式の話しだね。そう言えば、自社株は相続税の対象になると教えてもらったけど、自社株は会社に関係する財産だから法人税は関係してこないのかね?」 |
| 税理士 |
「自社株の所有者は、あくまでも社長です。社長に万が一のことがあった場合には、社長の所有する自社株は社長の相続財産として相続税の課税対象になります。その点は、いくら自分の会社の株式とはいえ、上場株式を所有していることと何ら変わりはありません。事業承継において自社株は色々な視点から検討しなければならない財産であり、注意すべきこともたくさんあります。その辺りは時間をかけてお話しするとして、その前にそもそも相続税はどのような仕組みの税金なのかということをお話させて頂こうと思います」 |
| 社長 |
「確かに自社株うんぬんの話の前に、相続税がどのような税金なのかを知らないといけないね」 |
| 税理士 |
「はい。相続税とは、亡くなられた人の財産を取得した人に課税される税金です。財産に課税されるという点で、他の所得税や法人税のように利益に対して課税される税金とは違う特徴があります。では、相続税の計算を大まかに説明しましょう。次のペーパーをご覧下さい」 |
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| 税理士 |
「まず、相続税は、亡くなられた人から相続や遺贈により財産を取得した人が納税義務者となります。そして、相続税の計算の対象は、相続又は遺贈により取得した財産であり、もしも、死亡保険金や死亡退職金がある場合には、それらの財産も対象となります。それを示したのが図の と です」 |
| 社長 |
「ふむふむ…ところで、相続税の計算の対象となる財産とはどのようなものをイメージすれば良いのかね」 |
| 税理士 |
「はい。大まかに申し上げますと価値を見積もることができるものは、全て相続税の対象となる財産といえます。例えば、現金預金、上場株式、金融商品、土地、建物、貸付金といったものが挙げられます。その他、自動車や美術品、家財なども相続税の対象となる財産です。もちろん自社株も相続税の対象となる財産です。また、例えば社長が会社にお金を貸している場合には、その貸付金も相続税の対象です」 |
| 社長 |
「いわゆる“財産”といわれるものは、そのほとんどが相続税の対象であると考えた方が良さそうだな。事業承継は、自社株のことだけを考えるのではなく、それ以外の財産も含めたところで考えなければならないと言えそうだね」 |
| 税理士 |
「そうですね。自社株についてはもちろん、それ以外の財産についても事前の対策が可能であれば、積極的に検討すべきです。さて、大抵の財産が対象となる相続税ですが、“財産”ではあるのだけど、相続税の計算の対象にはならない財産もあります。そのような財産を相続税の非課税財産と言います。非課税財産は、いくつかあるのですが、例えば、墓地や死亡保険金・死亡退職金のうち一定額までは相続税の非課税財産となり、相続税は課税されません。また、会社から支払われる弔慰金についても、一定の額までは相続税の対象とはなりません。図では としてマイナスしています」 |
| 社長 |
「非課税という制度は、何だか使えそうだね」 |
| 税理士 |
「そうですね。例えば、死亡保険金のうち一定額までは、相続税の非課税ですから、もしも、その一定額までの保険に加入していないということがあれば、手持ちの現金を保険に替えて、相続税の非課税を有効に活用するなどが考えられます。その点につきましては、後ほどお話させて頂きます」 |
| 社長 |
「さて、図の 、これは何かね?」 |
| 税理士 |
「はい。これは、債務控除といいます。債務控除とは、“財産”とは対極的な“債務”ある場合には、その“債務”については、マイナスするという制度です。また、亡くなられた方の葬式費用についても、亡くなられた際には必ず発生する費用としてマイナスすることができます」 |
| 社長 |
「どのような“債務”や“葬式費用”がマイナスできるのかな?」 |
| 税理士 |
「はい。債務の代表的な例としては、社長個人の銀行借入金や賃貸不動産の預かり敷金、入院して亡くなられた場合の未払医療費など、亡くなられた方の債務で亡くなられた際に支払うことが確実なものを言います。注意して頂きたいのは、債務控除の対象となるのは、あくまでも社長個人の債務であり会社の債務は含まれません。葬式費用は、葬式の前後に生じた出費であればマイナスの対象になりますが、香典のお返しの費用や初七日法会の費用などはマイナスできません」 |
| 社長 |
「図の の財産は?」 |
| 税理士 |
「はい。こちらは、『生前贈与加算』という制度で、死亡の日前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産がある場合には、改めて相続税のかけ直しをする制度をいいます。これは、被相続人に相続が発生することを予期して贈与により被相続人から財産を移転し、相続税の課税を逃れることを防ぐために設けられている措置です」 |
| 社長 |
「なるほどね。でも、贈与を行った場合には、贈与税が課税されるんだよね? その上で相続税をかけ直すとはひどい話じゃないかね?」 |
| 税理士 |
「はい。贈与の際に課税された贈与税は、相続税からマイナスします。そうすることで贈与税と相続税が二重に課税されることを防いでいるわけです」 |
| 社長 |
「ほう。そういう仕組みなのか」 |
| 税理士 |
「以上の段階を経て、計算されるのが図の の相続税の課税価格です。この課税価格に基づいて相続税が計算されます。なお、相続時精算課税制度という制度を選択した場合には、計算方法が少し変わりますので、それは改めてお話したいと思います」 |