| 社長 |
「前に誰かから聞いたんだけど、自宅の土地なんかは、相続税が安くなるような特例があるんだって?」 |
| 税理士 |
「よくご存知で。『小規模宅地等の減額』と呼ばれる制度です」 |
| 社長 |
「専門用語は、これ以上頭に入らないよ…」 |
| 税理士 |
「(笑)この制度は、被相続人が住んでいたり、事業を営んでいた宅地等は、遺族にとっても生活を維持していく上で必要最小限の財産であるということに鑑み、一定の減額を認めているという制度だと言えます」 |
| 社長 |
「なるほど。具体的にはどのくらい減額されるの?」 |
| 税理士 |
「なんと、8割引です!」 |
| 社長 |
「それは国も太っ腹だね?」 |
| 税理士 |
「その土地の取得者によっては、5割引の場合もあります」 |
| 社長 |
「8割引、5割引はアタリマエ?(笑)」 |
| 税理士 |
「(笑)アタリマエではなく、一定の要件が必要です。例えば被相続人が住んでいた宅地等の場合についてご説明します。まず、被相続人が住んでいた宅地等であれば、誰が取得しても200m2までの部分については、50%減額が受けられます。そして、被相続人が住んでいた宅地等を【1】被相続人の配偶者が取得した場合又は【2】同居していた親族が取得し、相続税の申告期限まで居住を継続した場合には、240m2までの部分について80%減額が認められます」 |
| 社長 |
「なるほど。では、事業を営んでいた宅地の場合はどうかな?」 |
| 税理士 |
「被相続人が住んでいた宅地等の場合と同様に被相続人が事業を営んでいた宅地等であれば、誰が取得しても200m2までの部分については、50%減額が受けられます。そして、被相続人が事業を営んでいた宅地等を親族が取得し、被相続人が営んでいた事業を申告期限まで引き続き営んでいる場合には、400m2までの部分について80%減額が認められます。ただし、80%減額が認められる事業の種類からは不動産貸付業が除かれています」 |
| 社長 |
「ということは、他人に貸している宅地等については、50%減額はOKだけど、80%減額は認められないということになるね。制度の趣旨から言えば、他人に貸せるような余裕のある宅地等については80%減額という保護はしないよということなのかな」 |
| 税理士 |
「はい。ただし、被相続人と親族が発行済株式数の50%超を保有する会社に対して貸し付けている宅地等については、申告期限においてその会社の役員である親族が取得し、申告期限まで会社への貸し付けが行われている場合には、400m2部分について80%減額が認められます」 |
| 社長 |
「同じ宅地の貸し付けでも、自分の経営している会社への貸し付けについては、80%減額が認められるということだね」 |
| 税理士 |
「そうですね。小規模宅地等の減額は、相続税を支払うために生活に最小限必要と思われる宅地等が売却されたりする事態を緩和するために設けられました。その意味では、相続税のために会社に貸している宅地等を手放さざるを得なくなってしまうことは、被相続人の親族の問題だけでなく、そこに働く従業員や取引先にも影響を及ぼす可能性があるために、趣旨に合致すると考えられています」 |
| 社長 |
「それにしても80%減額とは大きいね」 |
| 税理士 |
「そうですね。この特例を考慮するのとしないのでは、相続税の課税価格は大きく変わりますし、結果として相続税も大きく変わります。相続税に関する対策などを進める上では無視できない特例ですので、所有している宅地等について要件を満たすか否かを事前にしっかりと把握しておく必要があるといえます。また、要件を満たせば全ての宅地等が減額の対象になるというわけではなく、減額の対象となる面積の上限が決まっていますので、例えば、要件を満たす複数の宅地等を所有している場合には、どの宅地等を減額の対象にするかといった組み合わせを検討することも重要です」 |
| 社長 |
「小規模宅地等の減額は誰が取得するかということも重要な要件のようだから、遺産分割との兼ね合いもありそうだね。何はさておき事前に現状をしっかり把握するということが大切ということか」 |
| 税理士 |
「そのとおりです。現状把握は、相続税対策及び事業承継対策の第一歩です。全てはそこから始まるといっても過言ではないですよ。現状把握を行う上で事前にできる工夫がたくさん見えてくる場合があります。小規模宅地等の減額も効果的な活用をすれば、相続税を減額することができますからね」 |
| 社長 |
「なるほど。それにしても、何だか要件がたくさんあって整理するだけでも大変だ(苦笑)。減額は簡単には受けさせてくれないということだね(笑)」 |