| 税理士 |
「社長。今日は、もう一つの評価方法、純資産価額について、ご説明します」 |
| 社長 |
「純資産価額というのは、確か、会社が今解散したらいくら株主に戻るかというアプローチで計算される方法だったよね?」 |
| 税理士 |
「よく覚えてらっしゃいますね。『純資産価額』は、会社の有する資産や負債に着目して、仮に会社が解散したら、株主に対して、いくら戻るのかという計算を行います」 |
| 社長 |
「そして、会社の都合にかかわらず、つまり、解散する予定のあるなしにかかわらず、計算されるということだよね」 |
| 税理士 |
「そうですね。会社の都合にかかわらずです。では、早速ですが、算式をお示しします」 |
| 社長 |
「また…算式…、基本的にはギブアップだよ!」 |
 |
| 社長 |
「あぁ〜。また。やっぱり。分数。ギブギブ…(笑)」 |
| 税理士 |
「まあまあ落ち着いて下さい(苦笑)。一緒に算式を一つ一つ分析していきましょう。まず、分子を見ましょう。計算のスタートは、会社の純資産(相続税評価額)です。会社の純資産はお分かりですよね?」 |
| 社長 |
「うん。会社の資産から負債を引いた部分だよね。相続税評価額とは何だろう?」 |
| 税理士 |
「はい。会社の貸借対照表に載っている金額は、あくまでも会社が購入した値段が載っています。その金額で考えるのではなくて、会社が持っている資産を全て相続税評価額に直します」 |
| 社長 |
「ということは、会社が土地を持っていれば、路線価方式や倍率方式で土地の相続税評価額を計算する必要があるということ?」 |
| 税理士 |
「さすが、社長!その通りです。その他、上場株式があれば、やはり相続税評価額を計算しますし、細かいことを言えば、電話加入権なども相続税評価額を計算します」 |
| 社長 |
「なるほど。会社が土地などをたくさん所有していると大変な作業だね」 |
| 税理士 |
「でも、これらは避けられない手続きなんですよ。といいますのは、会社が持っている資産を全て相続税評価額に置き換えた上で、会社を解散させるからです」 |
| 社長 |
「う〜ん…。具体的にはどのように解散させるの?」 |
| 税理士 |
「はい。会社が解散する場合には、まず、持っている資産を全て売却してお金に換えます。そして、手にしたお金で会社が抱えている借金、つまり負債を返済します」 |
| 社長 |
「持っている資産を売却すると言ったって、いくらで売れるか分からないよね」 |
| 税理士 |
「そこを割り切って、相続税評価額で売却されると考えるわけです。手にしたお金で借金を返済しますと結果として、相続税評価額による会社の純資産が残ります」 |
| 社長 |
「なるほど。資産は相続税評価額で売れると割り切るわけだね。では、分母の残りの算式はどういう意味?」 |
| 税理士 |
「会社の借金を返した後の残りがそのまま株主に戻るわけではなく、株主に戻す前に、会社が資産を売却した際の売却益に対して法人税を払う必要があります。売却益は、相続税評価額で売却されますので、資産の相続税評価額と帳簿価額の差額となり、その差額に対して42%の法人税を支払います」 |
| 社長 |
「なるほど、算式の分子では相続税評価額で資産を売却して得た金額から借金を返済し、売却に伴う法人税を支払った後の金額を計算しているということかあ。この金額が最終的に株主に戻るわけだね」 |
| 税理士 |
「そのとおりです。それを分母の発行済株式数で割ることで、会社が解散したら株主に戻る1株当たりの金額が計算されることになります」 |
| 社長 |
「なるほど。確かに割り切りだけど、会社を解散させた場合に株主に戻る金額を計算しているね」 |
| 税理士 |
「そして、最後に、株式を取得する株主が持つ議決権が、会社の総議決権の50%以下である場合には、1株当たりの純資産価額に80%を乗じます。これは、取得者が会社の総議決権の過半数を占めていない場合の評価の安全性を考慮したものです」 |
| 社長 |
「純資産価額についても、分数算式を見たときにはどうなることかと思ったけど、計算の仕組みは掴めたよ」 |