| 税理士 |
「社長、今日は、少し話が戻りまして、株式の評価方法についてお話しさせて下さい」 |
| 社長 |
「うん。以前に株主の判定や類似業種比準価額、純資産価額を教えてもらったけど、他にも評価方法があるの?」 |
| 税理士 |
「はい。事業承継を考える上で非常に重要な『特定会社』という考え方があります」 |
| 社長 |
「『特定会社』? 何だか、特別な取扱いがありそうだね」 |
| 税理士 |
「そのとおりなんです。『特定会社』にもいくつか種類があるのですが、まずは、分かりやすいところから、会社の資産の内容が株式や土地等に偏っている場合です。そのような会社の株式を評価する場合は、類似業種比準価額を使うことができません。つまり、原則として、純資産価額のみでの評価になります」 |
| 社長 |
「ほお…。例えば、大会社で、純資産価額よりも類似業種比準価額の方が低い場合には、類似業種比準価額が選択できるはずだけど、それができないということ?」 |
| 税理士 |
「そうなのです。なぜなら、類似業種比準価額は、上場会社と比較して株価を計算していく方法でしたが、あくまでも、資産内容などについて一般的な会社を想定している評価方法なのです。ですから、資産の内容が株式や土地などに偏っている場合には、その資産内容に着目をして、純資産価額で評価しなければなりません」 |
| 社長 |
「なるほど。ところで偏っているとはどのような状態をいうのかな?」 |
| 税理士 |
「はい。会社の総資産のうちに、株式や土地等がどのくらいの割合を占めているかということで判断します。具体的には、次のようになります」 |
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株式 |
土地等 |
| 大会社 |
25%以上 |
70%以上 |
| 中会社 |
50%以上 |
90%以上 |
| 小会社 |
50%以上 |
90%以上(※) |
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※一定の小会社は90%以上
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| 社長 |
「例えば、大会社であれば、会社の総資産のうちに株式の占める割合が25%以上であれば、『特定会社』ということで、類似業種比準価額では評価できなくなるということなんだね」 |
| 税理士 |
「はい。そのとおりです。ちなみに、割合を計算する場合の会社の総資産の価額や株式の価額は、すべて相続税評価額となります。ですから、例えば、古くから会社が土地を所有しているような場合で他に資産がない場合には注意が必要です」 |
| 社長 |
「どういうこと?」 |
| 税理士 |
「はい。会社の貸借対照表上は、古くからの土地ですのでかなり低い価額で計上されているかもしれませんが、その土地を現在の相続税評価額で計算しなおすと、会社の総資産に占める割合が高くなっているというケースがあります」 |
| 社長 |
「なるほど。貸借対照表で判断するのではなく、相続税評価額で計算しなおす必要があるということだね」 |
| 税理士 |
「そのとおりです。ですから、不動産をたくさん抱えている不動産管理会社のような会社は『特定会社』になりやすいです」 |
| 社長 |
「うちの会社は大丈夫そうだね。他に純資産価額で評価しなければならない場合はあるのかな」 |
| 税理士 |
「そうですね。子会社を保有している会社の場合で、めでたく子会社の業績が良く、子会社の株価が上昇する場合には『特定会社』になってしまう可能性はあります」 |
| 社長 |
「なるほど」 |
| 税理士 |
「その他には、赤字が続いていたり、無配が続いている会社です。類似業種比準価額は、配当、利益、純資産の3要素で比較する方式でしたが、その3要素のうち2要素が0である場合には、比較する際のデータが不足してしまうということで、原則として、純資産価額で評価します」 |
| 社長 |
「よくわからないけど、聞くだけ聞いておこうか…」 |
| 税理士 |
「類似業種比準価額の場合、理屈の上では、配当、利益を出さないようにすれば、評価額を引き下げることができます。しかしながら、そのような対策が過ぎると、類似業種比準価額が使えなくなってしまいますので、対策を検討する際には、対策後の会社の株価をイメージして、慎重に進めるべきです」 |
| 社長 |
「今日はこれで終わりにしようよ」 |
| 税理士 |
「最後にひとつだけ! 開業して間もない会社、具体的には開業後3年未満の会社は、上場会社のデータと比較をするほど成熟していないということで、類似業種比準価額を使うことはできません。つまり純資産価額で評価することになります」 |
| 社長 |
「終わり?」 |
| 税理士 |
「………」 |