| 社長 |
「先日、私の友人と話をしたんだが、彼のお父様は大地主で、亡くなられたときの相続税の話になってね。やはり、大地主だけあって、遺産の大半は不動産だったそうで、相続税の納付に大変困ったらしいんだ。その後、彼は『ブツノウ』を使ってどうのこうの言っていたんだけど、どういうことなんだろう?」 |
| 税理士 |
「『ブツノウ』は『物納』と書きます。相続税を相続した財産で納付したのではないでしょうか。社長? まさか、知ったかぶりして話しを合わせてきたとか?」 |
| 社長 |
「……」 |
| 税理士 |
「(苦笑)まあ、良いとして。今日は、相続税の納付のお話をしましょう」 |
| 社長 |
「相続税の納付と言ったって、税金なんだから、所得税や法人税と同じように現金で納めるんでしょう?」 |
| 税理士 |
「原則は、そのとおりです。ただし、相続税は、所得税や法人税と違い、個人や企業が獲得した儲けに対して課税されるのではなく、いわゆる財産に対して課税されるので、単純に現金でという訳にはいかない場合があります」 |
| 社長 |
「そうだよね。先ほどの友人の件だって、遺産のほとんどが土地や建物といった不動産の場合、路線価などで評価されて、相続税がかかるんだもんね。それ相応の現預金などが遺産の中にあればいいけど、無ければ、相続人が自腹を切るか、借金するか、相続した財産を売却して、現金を作るか、そういったことを考えないといけないよね」 |
| 税理士 |
「そうですね。不動産だけではなく、未上場株式でも、同じような問題が起きますよ。ですから、社長にとっても他人事ではありません。更に、不動産であれば、売却してお金に換えて相続税を納めるということが可能ですが、未上場株式は、簡単には換金できませんからね」 |
| 社長 |
「そうかあ。私にとっても問題になりうるね」 |
| 税理士 |
「そうです。そして、そのような問題に対処するために、相続税は、金銭一時納付、つまり、お金で一度に納めて下さいということを原則として、例外的な納付の方法が認められています」 |
| 社長 |
「例外的な納付の方法か。具体的にはどのような方法があるの?」 |
| 税理士 |
「はい。まず、金銭一時納付が困難である場合には、相続税の分割払いが認められます。この納付の手段を『延納(エンノウ)』といいます」 |
| 社長 |
「なるほど。分割払いね。で、『ブツノウ』は?」 |
| 税理士 |
「はい。『物納』は、納付の最終手段です。文字通り、モノで納めるということですので、相続税を相続財産で納めるということです」 |
| 社長 |
「なるほど。ということは、やっぱり友人は、土地で相続税を納めたんだろうなあ」 |
| 税理士 |
「そうかもしれませんね」 |