| 社長 |
「物納、延納と相続税の納付の方法について教えてもらったけど、色々な手続きなどを考えると、現金で一時に納付できるに越したことはないねえ」 |
| 税理士 |
「そうですね。ところで社長、現金で一時に納付をするということであれば、会社を活用して納税資金を調達する方法もあるということをお話ししたことを覚えていらっしゃいますか?」 |
| 社長 |
「そういえば、退職金の話をしてくれたときに相続人に対して死亡退職金を支払う仕組みにしておけば、一定額までは相続税の非課税となり、納税資金も助かるという話をしてくれたよね。それ以外に会社を活用する方法があるの?」 |
| 税理士 |
「そうですね。色々ありますが、例えば、単純に相続した財産を会社に売却し、売却代金を会社から引っ張り出して、相続税の納税資金に充てるという方法があります」 |
| 社長 |
「ほお…。例えば、相続人が賃貸不動産を相続した場合に、その賃貸不動産を売却し、売却代金を相続税に充てるということか。確かに会社を活用した納税資金の調達だね。でも、資産を売却するということは、税金が課税されるんじゃない?」 |
| 税理士 |
「はい。そうなんです。資産を売却し、売却益が生じた場合には、譲渡税が課税されます。しかしながら、相続した財産を相続開始の日から3年10ヶ月以内に売却した場合には、ある特例を活用することができます」 |
| 社長 |
「ある特例? どのような特例なの?」 |
| 税理士 |
「はい。通常、資産を売却した場合には、次のような算式で計算した売却益に譲渡税が課税されます」 |
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| 社長 |
「ふんふん。大雑把に言えば、売った値段から買った値段をマイナスして売却益が出れば、譲渡税が課税されるということだよね」 |
| 税理士 |
「はい。そういうことです。そして、相続開始の日から3年10ヶ月以内に売却し場合に受けられる特例とは、買った値段に支払った相続税の一部をプラスすることができるという特例なんです。ですから、次のような算式になります」 |
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| 社長 |
「ほお。買った値段に支払った相続税を加算することができるから、売却益が少なくなるということだね」 |
| 税理士 |
「そのとおりです。売却益が少なくなりますので、結果として譲渡税も少なくなり、その分、会社から受け取る手取額は多くなるということです」 |
| 社長 |
「なるほど。では、会社に資産を売却する際に注意しなければならないことはあるの?」 |
| 税理士 |
「はい。まずは、資産の売却代金の決定です。あくまでも、売却代金は第三者と取引した場合に成立するであろう価格、すなわち、適正な時価でなければ税務上のトラブルを生じる恐れがあります」 |
| 社長 |
「ということは、相続税を納めるのにこれくらい必要だから、この値段で売ってしまおうというのはまずいということだね」 |
| 税理士 |
「そうですね。不動産であれば、第三者の意見である鑑定評価額などを参考に適正な時価を求める必要があります。また、売買契約書をきちんと作成することや会社側で資産を購入することについて、役員会の承認を得て、議事録を残しておくなど、とにかく第三者と取引を行う場合と同じような形式を整えることが大切です」 |
| 社長 |
「なるほど。他には何かあるかな?」 |
| 税理士 |
「はい。会社側に買い取り資金が充分に準備されているかどうかも注意すべきです。相続税を納めるために会社の資金を相続人に流し、結果として会社の経営に影響を及ぼしてしまっては本末転倒ですからね」 |
| 社長 |
「確かにそうだね。資産を買うということは、会社側で買い取るだけの財源が必要になるものね。財源準備のためには退職金のときに話してくれたように会社契約の保険を活用することが考えられるね」 |
| 税理士 |
「そうですね。退職金準備はもちろんですが、資産の買い取りが必要であると想定される場合には、相続の際に、会社に資金を準備するために保険の活用や資金運用などを検討することが必要でしょうね」 |
| 社長 |
「なるほど。今日はかなり専門的な話だったけど、対策を進める上では、注意しなければならない話だったね」 |