| 社長 |
「金庫株という制度が税制上かなり使い勝手の良い制度になっているということだけど、新しい会社法では、何か手当てがされているの?」 |
| 税理士 |
「はい。新会社法においても、事業承継対策として活用しやすいように手当てがされています。詳しい説明に入る前に、そもそも”金庫株”を買い取るための手続きについて簡単に説明します。会社が金庫株を購入する場合には、一定の手続が必要となります。株主総会の普通決議、つまり、株主の過半数の賛成により【1】有償取得する株式の種類と総数、総額【2】1年を超えない期間内での取得期間を決議する必要があります。元々商法では、定時株主総会の特別決議が必要でした。つまり、年1回の定時株主総会できちんと決めておかなければならなかったのですが、新会社法では臨時株主総会でOKであり、かつ、普通決議でOKとなりました。ちなみに、特別決議とは、総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、2/3以上の賛成を必要とするハードルの高い決議です」 |
| 社長 |
「なるほど。臨時株主総会ということは、いつでもOKであり、かつ、決議のハードルも普通決議でOKということだから、随分と使い勝手が良くなったということだね」 |
| 税理士 |
「ところが、ある特定の株主の保有する株式だけを買い取ろうとする場合には、その特定の株主を除いたところでの特別決議が必要になります」 |
| 社長 |
「特定の株主から買うわけだから、その分、ハードルは高くなってしまうということかあ」 |
| 税理士 |
「しかも、特定の株主から購入する場合には、他の株主も会社に対して自分の株式も買ってくれと請求することができます。これは、株主は平等であるべきという考え方から認められている権利です」 |
| 社長 |
「相続人からだけ買おうとしても、場合によっては、他の株主の株式まで買わなければならないというわけかあ。これはキビシイね」 |
| 税理士 |
「実は、そこに特例があるんです。相続によって株式を取得した者から金庫株を購入する場合には、他の株主からの買ってくれという請求に応じることなく相続によって株式を取得した者の株式のみを金庫株として購入することができます。ただし、相続によって取得した株主を除いたところで特別決議が必要であるということは変わりありません」 |
| 社長 |
「ほう。それでも他の株主からの買取請求に応じなくても良いというのは大きいね」 |
| 税理士 |
「もう一歩進んで、そもそも特定の株主から金庫株を買い取る際に、他の株主は自分の株式も買ってくれとは言えませんよと定款を変えてしまうことも可能になりました。ただ、この定款の変更には、株主全員の同意が必要です」 |
| 社長 |
「全員の同意が必要ということは、既に他の株主がいる場合には、ちょっと難しいかもしれないね」 |
| 税理士 |
「そうですね。ですから、今、株主全員が親族であれば、そのような定款の変更を検討してみる必要があるのではないでしょうか。さらに、相続によって移動した株式に対しては、他にも特例があるんです」 |
| 社長 |
「どのような特例?」 |
| 税理士 |
「はい。簡単に言うと、会社側から金庫株として譲れということを株主に請求することができます。具体的には、相続等によって株式を取得した者に対して、会社側からその株式を会社に売るように請求できるように定款で定めることができます」 |
| 社長 |
「う〜ん。会社側から株式を相続した株主に対して買い取りますと請求する場面ってどのような場面だろう?」 |
| 税理士 |
「はい。例えば、相続で会社にとって好ましくない人物に株式が渡っても、定款に定めておきさえすれば、会社側からその人に株を譲るように請求できるということです。こうすることで、相続による株式の分散が防止できるというメリットがありますので、事業承継を円滑にする観点から、定款の見直しを検討すべきです」 |
| 社長 |
「この制度を活用すれば、相続によって株式が分散しても、会社に集められるというわけか」 |