| 社長 |
「さて、種類株式がどのように事業承継に役立つかを教えてもらおうかな」 |
| 税理士 |
「はい。まずは、議決権制限株式について考えましょう。議決権制限株式は、配当を受け取る権利などはそのままですが、議決権に制限がある株式です。例えば、相続人が3人いる場面を想定してお話しましょう。3人のうち、1人は後継者で残り2人は後継者以外という場合です」 |
| 社長 |
「うん。株式を分散することは、問題を先送りすることだったから、株式は後継者に集中すべしということだったよね?」 |
| 税理士 |
「そうでした。では、少し極端な例を考えてみましょう。オーナーの相続財産が株式だけだという場合はどうなります?」 |
| 社長 |
「それは大変だ。株式を後継者に相続させると後継者以外の2人が相続する財産がなくなってしまうからねえ。相続分の問題もあるし、結果として株式を分散せざるを得ないねえ」 |
| 税理士 |
「そのような場面で議決権制限株式の活用が考えられます。例えば、株式の3分の1を議決権ありの普通株式に、残りの3分の2を議決権なしの無議決権株式としておきます。そして、いざ相続が発生した場合には、議決権のある普通株式を後継者に相続させ、議決権のない株式を後継者以外に相続させます」 |
| 社長 |
「なるほど。株式を3分の1ずつ相続することになるけど、会社の経営権を意味する議決権は後継者に集中できるね」 |
| 税理士 |
「しかも、株式を後継者だけに集中した場合には、当然のことながら、相続税の負担も後継者に集中することになりますが、株式を分散することで相続税負担も分散できます」 |
| 社長 |
「でも、議決権のある株式と議決権のない株式で相続税の評価は同じなの?」 |
| 税理士 |
「現在のところ、相続税の評価についてはハッキリしていません。しかしながら、中小企業庁を中心に議決権制限株式などの種類株式について、相続税評価額はどうあるべきかについて議論が進められており、意見提言などがされていますので、近いうちに評価方法がはっきりするものと思われます」 |
| 社長 |
「では、もう一つの黄金株の活用法を教えてよ」 |
| 税理士 |
「はい。黄金株は、会社の重要事項につき、たとえ、株主総会の議決があっても、拒否できる権利を持つ株式でした」 |
| 社長 |
「そうだったね。その効力の大きさ故に黄金株というネーミングだったわけだ」 |
| 税理士 |
「この黄金株は、例えば、オーナーが生前に後継者に事業を承継させた場合などに活用されることが考えられます」 |
| 社長 |
「ほう。自分が生前にリタイヤして、後継者に経営を任せたと言う場面でどのように活用されるんだろう」 |
| 税理士 |
「例えば、社長が後継者に事業を承継させるとして、会社の株式を全て後継者に移転したとします。その後、事業は順調に推移していましたが、ある日突然、後継者が暴走を始めて、おかしな経営判断をしそうになったとしたらどうします?」 |
| 社長 |
「それは大変なことだよね。でも、ありえない話ではないよね。後継者の暴走を止めようと考えても、株式を全て後継者に渡してしまっていては、それを止める手段がないね」 |
| 税理士 |
「そうなんです。でも、黄金株を発行し、その黄金株だけをオーナーが保有していればどうですか?」 |
| 社長 |
「なるほど。会社の重要事項について拒否できる黄金株を持っていれば、黄金株以外の株式を後継者に相続させても、会社の命運を左右する決断については、私は最後の砦になることができるわけだ」 |
| 税理士 |
「そういうことです。後継者の暴走は万が一のことかもしれませんが、その万が一に対する備えも事業承継においては必要です」 |
| 社長 |
「ところで、それだけの効力がある黄金株についての相続税評価はどうなっているの?」 |
| 税理士 |
「はい。黄金株についても、相続税の評価方法はハッキリしていません」 |
| 社長 |
「でも、これだけの効力を持っている株式だから、絶対に第三者の手に渡らないように細心の注意を払わないとダメだね」 |
| 税理士 |
「そうですね。後継者が信頼できるようになった時に後継者に贈与したり、遺言で後継者に相続させるなどの配慮が必要と言えます」 |
| 社長 |
「まあ、いずれにしても、これらの種類株式が相続税でどのように評価されるかがハッキリしない以上、導入すべきか何とも判断に迷うね」 |
| 税理士 |
「そうですね。やはり相続税の評価方法がハッキリするまでは、様子を見つつ、導入を検討するというのが現実的な対応策と思われます」 |