| 社長 |
「先ほどの話で、合併を活用することで自社株式の評価額を引き下げることができる場合があるということが分かったけど、M&Aには合併以外の方法もあったよね? 他の方法を活用しても自社株式の評価額を引き下げることができるのかな?」 |
| 税理士 |
「はい。合併の次は、M&Aの手法を活用した子会社化についてお話します」 |
| 社長 |
「子会社化? 何だか興味をそそるね」 |
| 税理士 |
「簡単に言ってしまえば、自社を子会社化することで自社株式の評価額を引き下げましょうというお話です」 |
| 社長 |
「ふ〜ん…自分の会社を子会社化という点がイメージつかないんだけど…」 |
| 税理士 |
「そうですね。具体的にお話しましょう。まずは、子会社化する方法について整理します。自社を子会社化する方法の代表例が会社分割、株式交換、株式移転です。例えば、次の図を御覧下さい」 |
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| 税理士 |
「こちらは、A社の営む事業の1つである小売業を新しく作った会社B社に会社分割し、B社の株式をA社に交付することで、B社をA社の100%子会社化するという方法です。会社分割によって新しく会社を設立することを新設分割といいます」 |
| 社長 |
「なるほど。会社の事業を新設会社に分割することで、簡単に子会社ができるね」 |
| 税理士 |
「例えば、この方法を活用することで自社株式の評価が引き下がる場合があります。次のケースを考えます」 |
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| 税理士 |
「このケースは、A社が卸売業と小売業の2つの事業を行っている場合で、卸売業は低収益部門、小売業は高収益部門であるという場合です。この場合に、高収益部門である小売業を会社分割で子会社化することで、A社の類似業種比準価額の利益の要素の引き下がり、A社の類似業種比準価額の引き下げに繋がる場合があります」 |
| 社長 |
「そういえば、類似業種比準価額は、配当、利益、純資産の3つの要素について、上場会社のデータと比較して、上場していたらいくらの株価になるかを計算する方法だったものね。特に利益の要素は3倍にカウントされたはずだから、その要素が下がると引き下げ効果が大きそうだね」 |
| 税理士 |
「そうですね。ただし、いくつか注意点があります。まず、事業を分割することでA社の規模が変わってしまう場合があるということです。事業を分割するということは、必然的に売上規模等が下がりますので、会社規模が大会社から中会社や小会社になってしまうと類似業種比準価額を使う割合が下がってしまい、効果が少なくなってしまいます」 |
| 社長 |
「なるほど。折角、類似業種比準価額を下げても、それを使える割合が少ないと言うことになると会社分割した意味がなくなってしまうよね」 |
| 税理士 |
「他にも、会社分割した後のA社の資産構成にも注意が必要です。会社分割で事業を分割したA社には、分割した事業の代わりに新設会社B社の株式が交付されますので、A社の貸借対照表には、子会社株式(B社株式)が計上されます。ですから、A社の総資産のうちに、B社株式の占める割合が大きくなってしまう場合には、株式保有特定会社に該当してしまい、結果として類似業種比準価額が全く使えないということになってしまいます」 |
| 社長 |
「やっぱり、合併のときと同じように事前のシミュレーションが大事ということかあ。折角、自社株式の評価引き下げを狙って会社分割しても、その目的が達成できないのであれば、困るものねえ〜」 |
| 税理士 |
「そうですね。思いつきや事前のシミュレーション無しに実行することはあってはなりません。さらに、自社株式の評価引き下げだけを狙って会社分割を行うのもどうかと思います。やはり、事業戦略からの必要性なども検討することも必要と考えます」 |
| 社長 |
「そうだね。自社株式は会社の抱える問題の1つではあるけれども、そのために会社の組織を変えるのは本末転倒だよね。会社の戦略としてどうかということも検討すべきだね」 |