| 社長 |
「以前、物納という制度について説明してもらったことがあったけど、未上場株式も物納できるということを先日、聞いたんだけど、今日は、そのことについて少し詳しく説明してもらえるかな」 |
| 税理士 |
「はい。未上場株式の物納に関しては、以前は、売却できる見込みのある有価証券として、ある一定以上の業績がある場合などの要件を充たす場合に限って、認められてきましたが、平成18年度の税制改正により、未上場株式についても、物納不適格財産とならない限りは、物納が認められます」 |
| 社長 |
「未上場株式が物納不適格財産にならないためには、具体的にどのような株式であればいいの?」 |
| 税理士 |
「はい。未上場株式が譲渡制限の定めのある株式である場合には、受け入れた国がその株式を処分する場合に、会社にお伺いを立てなければならないということで、譲渡の自由性が失われることから、譲渡制限を外す必要があります」 |
| 社長 |
「なるほど。一般的に未上場会社の株式は、譲渡制限が付されている場合が多いだろうから、要注意だね」 |
| 税理士 |
「はい。加えて、株主の権利を明確に証明するものとして、株券が必要となります。つまり、株券が未発行である場合には、株券を発行する必要があります」 |
| 社長 |
「これも大変だ。未上場の会社の多くは、株券なんて発行していないだろうからねえ…」 |
| 税理士 |
「そうですね。株券印刷のコストなども考慮した上で、物納を選択していただく必要があります。さて、物納については、平成18年度の税制改正で物納事務手続の迅速化が図られました。以前は、物納を申請しようとする者は、相続税の申告期限までに物納申請書を提出し、税務署長の許可を受ける必要がありました。物納の許可は、改正以前では、場合によっては、数年を要することもあり、その間、相続税の納税が完結しないなど、多くの問題点が指摘されてきました」 |
| 社長 |
「へえ…数年かかっちゃうと嫌だねえ…。事務手続の迅速化ということは、物納の許可がスピーディーに行われるということだよね?」 |
| 税理士 |
「そのとおりです。物納申請期限から3ヶ月以内に税務署長から連絡がない場合には、許可したものとみなすものとされます」 |
| 社長 |
「ほお〜、数年かかっていたものが、3ヶ月以内に決まるんであれば、納税者としてはありがたいねえ。ところで、未上場株式を物納する際の注意点なんかがあれば、教えてくれる?」 |
| 税理士 |
「はい。未上場株式を物納した場合には、財団に対する寄附と同じで、原則、譲渡所得を認識する必要がありますが、物納による場合には、譲渡所得は非課税となります。
この点、未上場株式を売却して、相続税の納税資金を調達する場合には、譲渡益に20%の譲渡税が課税されますので、その分、手取りが少なくなります。しかしながら、物納であれば、譲渡税を考慮する必要はありませんので、その点、売却して納税資金を調達するよりは、一般的には、有利になります」 |
| 社長 |
「なるほど。売却して資金を調達するよりは物納した方が多くの相続税を納めることができるということかあ」 |
| 税理士 |
「しかしながら、デメリットもあります。物納された株式は、国が処分することになりますが、原則、競争入札により処分が行われます。競争入札により処分できない場合など、特別な事情がある場合には、随意契約により処分されます。未上場株式は、上場されているわけではないので、買受希望者が買い受ける可能性が高いといえますが、確実ではないので、株式が他の第三者の手に渡ってしまう可能性もありますので、注意が必要です」 |
| 社長 |
「なるほど。やはり、以前、説明してもらったとおり、現状把握に基づく、事前準備が大事ということだ。何だか久しぶりに原点を思い出したよ(笑)」 |