| 社長 |
「先日、電話がかかってきて、お宅の息子さんが交通事故を起こして、どうのこうのって、いわゆる、振込詐欺のような怪しげな電話があってねえ。もちろん、冷静に事実関係を確認して、振り込むようなことはしなかったけど、相変わらず、振込詐欺事件が多いね。何だか信じられない話だけど…」 |
| 税理士 |
「そうですね。ただ、今後益々高齢化社会が進みますから、この手の事件は増え続けるんじゃないですかね」 |
| 社長 |
「そうだろうね。私自身だって、どうなるか分かったものじゃない…」 |
| 税理士 |
「はい。大変失礼な話ですが、長生きリスクという言葉があります。医学の進歩で長生きできる環境が整って、その結果、老後の生活資金が手当てできないリスク、それに、死を前にした痴呆のリスクが生じます。仮に社長が痴呆状態になってしまったら、事業承継にも大きな影響を及ぼします」 |
| 社長 |
「ほお…。確かにそうだね。自分の死後のことは、以前教えてもらった遺言である程度、自分の意志を伝えられるけど、痴呆になってしまったら、自分の意思表示が難しくなるよね…」 |
| 税理士 |
「そうなんです。そのための事前準備も事業承継を考える上では、非常に重要になっています」 |
| 社長 |
「具体的には、どのように準備すればいいのかな?」 |
| 税理士 |
「はい。まずは、社長がしっかりされているうちに、任意後見制度という制度を利用して、痴呆になってしまった場合の意思表示をしておくことをお薦めします。任意後見制度とは、本人の老後の世話の方法や、財産の管理、もちろん、後継者への株式の移転などについて、書面により意思表示をしておき、さらに、その意志を実現してくれる人を選任しておく制度です。なお、意思表示及びそれを実現してくれる人を登記しておくことで、痴呆状態になった場合の後見人が自動的に決まりますので、親族間での後見人を巡る争いなどを防ぐ効果もあります」 |
| 社長 |
「なるほど。自分の死後のことばかりを考えていたけど、確かに痴呆になってしまった場合は、準備がないと却って混乱しそうだね」 |
| 税理士 |
「そうですね。円滑な事業承継を考えれば、任意後見制度で生前のもしもの場合に備え、かつ、遺言で死後のことに備える。このようにすれば、生前から死後までの財産管理が円滑に行えます」 |
| 社長 |
「明日は、わが身と考えて、準備をしておくに越したことはないね」 |