| 社長 |
「LLPの特徴は、だいたい理解できたので、実際にLLPで事業活動を行う場合の色々なことについて聞きたいのだけど、例えば、LLPでお客様と契約を結んだりする場合はどうなるのかな?」 |
| 税理士 |
「LLPは、あくまでも組合ですから、法律上は契約の主体にはなれません」
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| 社長 |
「LLP名義での契約はできなということ?」 |
| 税理士 |
「はい。法律的にはそういうことになります。しかしながら、建設共同事業体や映画製作委員会などの民法上の組合においては、組合の肩書き付名義で売買契約や業務委託契約等の契約行為が行われており、特に弊害も生じていません。LLPにおいても、この民法上の組合で行われている契約と同じように考えることができます」 |
| 社長 |
「組合の肩書き付名義による契約というのはどのようなイメージなのかな?」 |
| 税理士 |
「はい。例えば、あるLLPにAとBという2人の組合員がいる場合に『○○有限責任事業組合 組合員A』という名義で契約を締結することが可能であり、その契約の効果は組合員Bにも及びます。つまり、契約の効果を共有することで、事実上、LLPとして契約した形を作るわけです。さらに『○○有限責任事業組合 組合員A』という組合の肩書き付名義で契約を行うことにより、組合員Aが単独で行った契約ではないことが明示されることになり、取引の相手先もLLPの存在を認識することができます」 |
| 社長 |
「なるほど。ということは、銀行口座を開設したり、融資を受けたりする場合も同じような考え方になるのかな?」 |
| 税理士 |
「そうですね。LLPとして口座を開設したり、LLPとして融資を受けたりすることはできませんが、『○○有限責任事業組合 組合員A』という組合の肩書き付名義で口座を開設したり、融資を受けたりすることは可能です」 |
| 社長 |
「LLPとしての契約はできないけど、各組合員が組合の肩書き付名義で契約することでLLPとしての契約締結という形になるんだね。では、例えば、LLPで不動産を購入するような場合、契約は組合の肩書き付名義で行うとして、登記はどのように行うの?」 |
| 税理士 |
「LLPの名義で不動産を保有することはできませんので、LLP名義で登記をすることはできません。あくまでも組合員のもの、そして、組合員の共有となります」 |
| 社長 |
「ということは、組合員全員の名義による共有の登記がされるということ!? それは随分と不安定だね。組合員の共有ということであれば、例えば、組合員の一人が共有持分を勝手に処分してしまうことだってありうるよね?」 |
| 税理士 |
「そうですね。しかし、有限責任であるLLPの場合、組合財産がそのような不安定な状況に置かれることは好ましくありません。したがって、組合財産については、組合員から一定の独立性を保つ措置が設けられています」 |
| 社長 |
「具体的には?」 |
| 税理士 |
「はい。共有物分割禁止の登記というのを行うことで、組合財産としての保護を図っています。例えば、共有物分割禁止の登記をしておけば、組合員が第三者に共有持分を処分することはできなくなります。また、組合員の個人的な債務を原因として、組合財産が差し押さえられてしまうことも考えられますが、共有物分割禁止の登記をしておけば、組合財産を差し押さえることができるのは、LLPの組合財産となる前の原因により生じた権利に基づく場合に限定されます」 |
| 社長 |
「なるほど。共有物分割禁止の登記というのをしておけば、組合員は自由に処分もできないし、組合財産が差し押さえを受ける心配もなくなるわけか」 |
| 税理士 |
「はい。しかし、共有物分割禁止の登記を行わないと組合員が第三者に共有持分を処分してしまった場合や組合財産に対して差し押さえが行われた場合には、それが有効になってしまうリスクがありますので、LLPで不動産を取得した場合には、共有物分割禁止の登記は確実に行うべきです」 |
| 社長 |
「つまり、LLPで不動産を取得した場合には、各組合員の共有登記と共有物分割禁止の登記をしっかりしておけば、事実上、LLPの所有する財産という形を作ることができると、こういうことだね」 |
| 税理士 |
「そういうことです。契約主体になれないLLPですから、備えあれば憂いなしです」 |