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日本版LLP/LLCのすゝめ!
第1回 LLP/LLCとは?
第2回 LLPの設立手続
第3回 LLPの活用例
第4回 LLPの特色 その1 有限責任
第5回 LLPの特色 その2 パス・スルー課税(構成員課税)
第6回 LLPの特色 その3 内部自治原則
第7回 LLPによる契約行為・登記
第8回 LLPの損益分配割合
第9回 LLPの財産分配
第10回 LLPの会計
第11回 組合員の加入・脱退
第12回 LLPの解散
第13回 LLCとは
第14回 LLCの設立手続
第15回 LLCの活用方法
第16回 LLCと社員の関係
第17回 LLCの解散
第18回 LLPの税務
第19回 個人組合員の税務 その1
第20回 個人組合員の税務 その2
第21回 法人組合員の税務 その1
第22回 LLPの消費税・固定資産税
第23回 LLCの税務
第24回 LLP・LLCの最新情報 new
■LLPの財産分配[連載第9回]
社長 「LLPの決算が終了して、LLPが利益を獲得した場合には、各組合員に実際に現金等の分配が行われることになると思うんだけど、その手続や注意点などを教えてもらえるかな?」
税理士 「はい。LLPは、各組合員が無限責任を負う民法上の任意組合とは違い、有限責任ですので、LLPの財産の分配を無制限に認めてしまうとLLPに対して金銭を貸していたり、LLPと取引をしている人たちの保護を図ることができません」
社長 「なるほど。例えば、LLPがお金を借りて、借りたお金を全て組合員に分配してしまったとしたら、LLPは有限責任だから、LLPにお金を貸した人は、組合員の出資の価額の範囲内でしか、貸したお金を回収できないということになっちゃうね」
税理士 「そのとおりです。ですから、LLPは組合財産の分配を行う際には、分配額の上限、すなわち、分配可能額が定められています」
社長 「株式会社における配当可能限度額と同じようなものかな。実際にはどのように計算されるの?」
税理士 「はい。分配可能額は、分配日における組合の純資産額から300万円と組合員による出資の総額のいずれか低い金額をマイナスして計算します」
社長 「イメージとしては、LLPの純資産額のうち組合員の出資の総額を超える部分の金額ということだね」
税理士 「はい。さらに通常の手続きで分配できる金額は、分配可能額のうち剰余金に相当する額となります。剰余金に相当する額とは、組合の純資産額から組合員の出資の総額をマイナスした金額です。つまり、出資の総額が300万円以下であれば、分配可能額と同額になります。出資の総額が300万円を超える場合、例えば500万円であれば、分配可能額は、『純資産額−500万円』となります。分配可能額と剰余金に相当する額の関係を図にしましょう」
【図1】
社長 「今、説明してくれたのは、通常の手続で分配できる額だよね? 特別な手続を踏めば、違う分配が可能なの?」
税理士 「はい。出資の総額が300万円を超えるLLPについては、総組合員の同意があれば、分配可能額を限度として、剰余金に相当する額を超える分配が可能です。【図1】の場合であれば、1の金額を限度として、1の金額を超える分配が可能、つまり、1の部分の分配が可能ということです。この場合には、LLPの債権者に対し剰余金に相当する額を超える分配を行った旨の情報を明らかにするために、組合契約に【1】分配する組合財産の帳簿価額から剰余金に相当する額をマイナスした金額【2】分配日【3】過去に剰余金に相当する額を超える分配を行っている場合には、その金額の合計額に今回の分配に伴う【1】の金額を加えた金額を記載しなければなりません。なお、出資の総額が300万円以下のLLPの場合には、分配可能額=剰余金に相当する額ですので、剰余金に相当する額を超える分配はできません」
社長 「剰余金に相当する額を超える分配を行うということは、組合員の出資の総額を食いつぶす分配になるから、総組合員の同意が必要であり、組合契約書への開示が必要とされるんだね」
税理士 「はい。なお、一度、剰余金に相当する額を超える分配を行った場合には、その分配額のうち剰余金の額に相当する額を超える部分の金額については、その後の分配可能額の計算上、各組合員の出資の総額からマイナスします。さきほどの図で過去に100万円、剰余金の額に相当する額を超える分配を行っているものとした場合には、次のような図になります」
【図2】
社長 「う〜ん…なかなか複雑だね。ところで、分配制限を超えて分配してしまった場合にはどうなるの?」
税理士 「はい。この場合、組合員には、【1】LLPに対する責任と【2】LLPの債権者に対する責任が生じます。まず、【1】LLPに対する責任ですが、分配制限を超えて分配を受けた組合員は、組合に対して連帯して分配額に相当する金銭をLLPに支払わなければなりません。そして、【2】LLPの債権者に対する責任ですが、LLPの債権者に対しては、分配額が分配可能額を超過した額を限度として、連帯してLLPの債務を弁済する責任を負います。ただし、【1】のLLPに対する責任として、LLPに支払った額の分については、責任を負いません」
社長 「本当は、組合員がもらってはいけないものだからね。責任を果たすのは当然だね」
税理士 「その他、分配を受けた日の属するLLPの事業年度末日に欠損額、つまり、LLPの資産額より負債額の方が大きくなってしまった場合には、やはり、組合員に、【1】LLPに対する責任と【2】LLPの債権者に対する責任が生じます。まず、【1】LLPに対する責任としては、組合員は連帯して分配額を限度として、LLPの欠損額部分をLLPに支払う義務があります。また、【2】LLPの債権者に対する責任ですが、組合員は、欠損額を限度として、連帯して、LLPの債務を弁済する責任を負います。ただし、【1】のLLPに対する責任として、LLPに支払った額の分については、責任を負いません。また、欠損額が発生することにつき、組合員が注意を怠らなかったことを証明した場合には、この責任を負わないことになっています」
社長 「なるほど。分配の結果、LLPが欠損になったしまった場合にも、組合員に対する責任を付すことで債権者の保護を図っているんだね。かなり難しい話だったけど、組合財産を分配するときには、慎重にということだね」
編集後記
 2005年8月1日にスタートしたLLPですが、これまでご相談のあったLLPの形について少しご紹介します。
・ 企業内の新規事業部門として、新規事業リーダーと企業でLLPを組成
・ 同業を営む2社がお互いの強みを活かすためのジョイントベンチャーとしてのLLP
・ ファンド機能としてLLPを組成
・ 仲間内で起業するためにLLPを組成
 これら内容を見ると、動くお金の額も大小も様々で、実に色々な形でLLPを検討できるということがおわかり頂けると思います。
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