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日本版LLP/LLCのすゝめ!
第1回 LLP/LLCとは?
第2回 LLPの設立手続
第3回 LLPの活用例
第4回 LLPの特色 その1 有限責任
第5回 LLPの特色 その2 パス・スルー課税(構成員課税)
第6回 LLPの特色 その3 内部自治原則
第7回 LLPによる契約行為・登記
第8回 LLPの損益分配割合
第9回 LLPの財産分配
第10回 LLPの会計
第11回 組合員の加入・脱退
第12回 LLPの解散
第13回 LLCとは
第14回 LLCの設立手続
第15回 LLCの活用方法
第16回 LLCと社員の関係
第17回 LLCの解散
第18回 LLPの税務
第19回 個人組合員の税務 その1
第20回 個人組合員の税務 その2
第21回 法人組合員の税務 その1
第22回 LLPの消費税・固定資産税
第23回 LLCの税務
第24回 LLP・LLCの最新情報 new
■LLCの活用方法[連載第15回]
社長 「ところで、新しい組織であるLLCは、どのように活用されることが期待されているのかな?」
税理士 「LLCはLLPと同じように出資者について有限責任であり、かつ、定款自治により色々な事を自由に決めることができるので、それこそ色々な分野で活用されることが期待されています」
社長 「そうだよね。LLCは、LLPと似ている組織ということだから、LLPの活用例に近いんだろうというイメージを持っているのだけど」
税理士 「確かにそのとおりです。LLPのときにお話しましたが、もの凄く素晴らしい技術やアイデアを持っているけど、資金がない個人とそのような技術やアイデアに興味のある大企業との連携をLLCで行うことが挙げられます」
社長 「そうだったね。株式会社だと原則として出資比率で議決権が決まってしまうから、資金の豊富な大企業が強い。そのことで個人が大企業との連携に萎縮してしまう。だから、議決権などを自由に決められるLLPを使いましょうということだったよね。LLCでも同じようなことが期待できるということだね」
税理士 「はい。加えまして、LLCの場合には、IPOを意識しやすいというメリットもあります」
社長 「IPO? 株式公開、つまり上場ということだね」
税理士 「そうです。素晴しい技術、アイデアを持つ個人が、LLCを設立して事業をスタートします。ある程度軌道に乗り、資金調達が必要となった場合、ベンチャーキャピタルや大企業から資本を受け入れます。その際、LLCの定款自治のメリットを生かして、経営権を確保しつつ、ベンチャーキャピタルや大企業からは、資本のみを受け入れるようにし、引き続き、自由な発想で事業展開を行います」
社長 「そうか。技術、アイデアを持つ個人が業務執行社員に就いて、かつ、定款を工夫することで、ベンチャーキャピタルや大企業に経営権を押さえられずに、資本だけを受け入れる仕組みにすることも可能だものね。この辺りが、組合員全員参加を原則とするLLPとの大きな違いだね」
税理士 「そして、上場を意識した段階で、LLCから株式会社へ組織変更し、上場を目指します。この流れをLLPで行おうとすると、株式会社に組織変更する段階でLLPを一度解散しなければなりません。つまり、LLPを株式会社に組織変更することはできないので、IPOを視野に入れているのであれば、LLCを活用するメリットは大きいといえます」
社長 「なるほど。LLCは、あくまでも会社だから、株式会社への組織変更も簡単にできるということか。この辺りもLLPとは大きな違いだね」
税理士 「その他、先端技術の研究・開発のためのジョイントベンチャーで活用することが挙げられます。研究開発に伴うリスクが高い場合には、1社でそのリスクを負うのが難しい場合があります。このような場合、リスクを分散するために複数の会社が共同でLLCを組成することなども考えられます。従来は、共同で株式会社を設立し、それぞれの子会社、関係会社として研究開発を行うという方法が一般的でした。株式会社の場合には、経営の意思決定の際に、取締役会や株主総会などの手続を経ることが必要ですが、LLCであれば、取締役会や株主総会などの手続を経ずに、親会社間での意思疎通により、経営の意思決定を行うことができ、機動的な運営をすることができるものと思います」
社長 「なるほど。でも、研究開発の場合、LLPを使えば、損失が生じた場合には、パススルー課税により、親会社に損失が配分されて、親会社の黒字と相殺できる。つまり、親会社の税金が減ることで、投資のリカバーを得られるということがあったよね。LLCで行おうとする場合は、パススルー課税ではないから、このメリットはないということだよね」
税理士 「ご指摘のとおりです。アメリカではLLCが爆発的に普及しましたが、それは、パススルー課税が認められてからのことです。ご説明したようなIPOの初期段階での活用や研究開発のためのジョイントベンチャーといった創造的な活用も、パススルー課税が認められない限りは、なかなか難しいというのが実際だと思います」
社長 「う〜ん…。せっかく面白そうな組織体なのだから、その活用が広がるようにパススルー課税の導入を急いで欲しいものだね」
税理士 「そうですね。でないと…LLCは、新会社法で廃止される有限会社に近いもので終わってしまいそうなんですよ。つまり、今まで有限会社で行っていた事業規模などにフィットしそうな組織体がLLCなんです。でも、それでは、あまりにも面白くないですからね」
社長 「うん。有限会社の衣替えで終わってしまわないことを期待したいね。今後のパススルー課税導入の情報を注意しよう」
編集後記
 平成18年度の税制改正の内容と今春の会社法施行という観点からぼんやりと見えてきたことがあります。それは、今まで単なる節税目的で法人経営をして個人経営に近い事業者と、「会社」という「公けの器」でビジネスを行おうとする事業者とを明確に区分しようという流れが形成されつつあるということです。これらのことを考えると、LLCは、どのような使われ方を望んでいるのか、今ひとつインパクトに欠けるような気がしてしまいますね。
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