| 税理士 |
「それでは、信託の登場人物について、説明していきましょう。まずは、信託に財産を預ける者である委託者です」 |
| 社長 |
「うん。財産を信託に預ける人がいないと始まらないからね。まず、委託者はどのような人がなれるのかな?」 |
| 税理士 |
「はい。委託者になれる人の要件は特に定めがありません。個人でも法人でも委託者になれます。しかしながら、遺言により信託を設定する場合には、民法の規定が適用され、15歳以上の者でなければなりません」 |
| 社長 |
「なるほど。遺言を行うにはある程度の能力が必要ということで15歳以上と制限されているんだろうね。では、委託者には、どのような権利が認められてるの?」 |
| 税理士 |
「はい。委託者は、財産の出し手であると同時に、信託の目的を設定する者でもあります。信託が目的どおり運用されているかどうかを監督する権利、つまり、受託者を監督する権利を持っています」
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| 社長 |
「そうだよね。自分が預けた財産が、自分のイメージしたとおりに運用されているかどうかは委託者にとって最大の関心事だものね」 |
| 税理士 |
「ところが、新しい信託法では、信託財産や受託者への監督権については、原則、受益者に与えるものとし、委託者には必要最小限の権利を与えるものとしました」 |
| 社長 |
「へえ〜。財産の出し手である委託者よりも受益者を保護するという考え方なんだあ。なぜだろう?」 |
| 税理士 |
「はい。委託者は、信託の成立のためには、必要不可欠な存在なのですが、通常、信託が始まってしまいますと、必ずしも必要とされる存在ではありません。例えば、不動産の流動化を考えて見ます。不動産流動化で信託を使いますと、通常は、委託者が不動産を信託し、その信託から得られる受益権を手にします」 |
| 社長 |
「うん。不動産を預けて、そこから得られる利益を受け取る権利を手にするということだね」 |
| 税理士 |
「はい。その後、委託者は手にした受益権を多数の者に売却し、資金調達を行います。これが信託を活用した不動産流動化の流れになります。簡単に図で整理しましょう」 |
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| 税理士 |
「図で見ていただくと、受益権を売却した後は、委託者は、特に利害関係が無くなってしまうんですね。利害関係がない人に信託財産や受託者の監督権を与えておくことは、信託の不安定化につながるという考え方もあるんです」 |
| 社長 |
「図で見ると良く分かるね。受益権を手放すと委託者は蚊帳の外になってしまうんだね」 |
| 税理士 |
「にもかかわらず、不動産の前所有者だからといって、委託者の権利を行使されると、信託の安定が失われる場合があります。そこで、新しい信託法では、受託者及び受益者の同意を得るか、信託行為の定めによって、委託者の地位を第三者に移転することも可能になりました。つまり、先ほどの不動産流動化であれば、不動産の所有者とは別の者に委託者の地位を移し、信託を安定させることが可能になります」 |
| 社長 |
「なるほど」 |
| 税理士 |
「それに、相続の場面でも新しい信託法は、遺言により信託を設定した委託者の地位については、委託者の相続人に相続させないこととしました。これは、委託者が遺言によりわざわざ信託を設定するのは、法定相続分と異なる財産の配分をすることが考えられ、委託者の死亡時に委託者の相続人が委託者の地位を相続してしまうと、委託者により受益者として指定された者が不利益をこうむる可能性があるため、委託者の地位は委託者の相続人に相続させない仕組みとなりました」 |
| 社長 |
「なるほど。新しい信託法により受益者保護の考え方が強い制度になったということだね」 |